2007年度経済情報処理
第4回 プレゼンテーション(presentation)の基本
第4回の目標
- 「プレゼンテーションとは何か?」を理解する
- プレゼンテーション技能の必要性を理解する
- プレゼンテーションに PowerPointを使うときの基本的な考え方を理解する
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準備問題
以下の意見について、正しいか誤っているか考えなさい
1. PowerPointを使いこなす能力がプレゼンテーション能力のことである
2. 絵心がない人にはわかりやすいプレゼンテーションを作成できない
3. PowerPointを使うと、どれも似たようなつまらないプレゼンテーションになってしまう
4. プレゼンテーションに凝るくらいなら、中身に時間を掛けるべきだ。プレゼンテーションはどうでもいい
1 プレゼンテーションとはなにか
- 辞書を引くと、紹介、提示、上演、発表、公開などの意味が書いてある
- presentのもともとの意味は、ラテン語で「人の前に置く」「上演する」「差し出す」「提供する」など
- つまり、相手に何か「よいもの」を与えることが本来の presentation
- この講義での文脈では、「よいもの」=「自分が伝えたいこと」
- ∴自分が伝えたいことを相手にきちんと伝える
2. なぜプレゼンの技能が必要なのか
- ビジネスにおいては、コミュニケーション能力が重視される
- 経団連による調査(2005年1月公表)では、75%の企業が新卒採用時に重視
- 組織とは協働するために作られる→コミュニケーションできない奴は要らない!
- 一人で仕事ができるなら組織もコミュニケーションも要らないが、非現実的
- 自分から情報を伝える・公開する能力(プレゼンテーション能力)はコミュニケーション能力の重要な部分
- すばらしいメッセージがあっても、伝えられない場合は存在しないのと同じ
- ビジネスにおいては「沈黙は金」ではなく「沈黙は禁」である
- 「私はあなたのためにこんなに役に立てます」と伝えることからすべては始まる
- 自分の能力・知識・計画などをわかりやすく正確に相手に伝えることが重要
- メッセージを伝えるためには、メッセージを表現できる技能が必要
- 頭のなかですばらしい音楽が作れても、演奏もできず楽譜も書けなければ誰にも伝わらない
- アイディアやメッセージも、わかりやすく正確に表現する技能がなければやはり伝わらない
- 技能だけあってもダメだが、メッセージだけあってもやはりダメ
- 絵心は非本質的
- 文字は絵からできた→文字の方が正確・簡潔に情報を伝えられる
- ロジックは「ことば」でしか伝えられない→絵は補完的
- 絵がなくてもプレゼンはできるが、ロジックと「ことば」がないプレゼンはあり得ない
3. プレゼンテーションの実例
- 4.2の内容を PowerPointを使った短いプレゼンテーションにまとめた
- この講義で目指すプレゼンテーションのイメージはこんな感じ
- 今後は、プレゼンテーションに含まれていた要素技術を習得する
- なお同じ内容・同じPowerPointを使ってわかりにくいプレゼンテーションも簡単に作れる。要注意
4. プレゼンテーションで重要なこと
論理的なプレゼンとはどのようなものか、まず概観しておく。
- はっきり
- 一番伝えたいこと(メインメッセージ)を明瞭に打ち出す
- 見やすく
- プレゼンテーションは相手に見てもらって初めて意味がある
- いいことが書いてあっても、見えなければダメ
- しっかり
- メインメッセージを伝えるためには、矛盾のない論理的構成が重要
→極端な例: 「高橋メソッド」
5. PowerPointを使ったプレゼンテーション作成
5.1 とりあえず使ってみる
例題: 絵を描いてみる
直線や四角形を描くには → Chap. 5 Q30
曲線を描くには? → Chap. 5 Q32
オートシェイプの図形を描くには? → Chap. 5 Q31
Step 1. スタートメニューからのアイコンを探して、PowerPointを起動する。すると、大体下のような画面が表示されるはず
Step2. テキストに書いてあるような機能を使って絵を描いてみる。下の例は絵心がない人向けのサンプルなので自分が好きなものを描けばよい
5.2 スライド
- PowerPointを使ったプレゼンテーションは「電子紙芝居」
- スライドとは、紙芝居を構成する1枚1枚の紙のようなもの
- PowerPointのスライドは、イメージとしては透明な下敷。上の例題で絵を描いたページが1枚のスライドになる
- スライドに描かれた文字や絵は、下敷にのせた紙片のイメージ
- スライドの上に置いた文字や絵は、それぞれが「オブジェクト」と呼ばれる独立したピース
- オブジェクトはそれぞれ独立しているので、個別に操作可能
- 属性(色、大きさ、フォント)や前後関係を変える、移動、アニメーションなどはオブジェクト単位で可能
スライド=オブジェクトを積み重ねた物
5.3 プレゼンテーション
- スライドを順番に表示していくのが「プレゼンテーション」→紙芝居と同じ
- プレゼンテーションの順番に合わせてスライドを並べることが大事→プレゼンテーションのストーリーができてからスライドを作る
- 見ている人はスライドが並んでいる順番で理解していく→論理的な展開が重要
例題: 複数のスライドからなるプレゼンテーションの簡単な例を作成してみる
- 書ける人は下の文例は気にせず、自分で好きなことを書いてみよう
- ただし、ここでの目的はあくまでプレゼンテーションを作成してみること。内容にそんなに凝る必要はない
- できあがったら、presen1という名前をつけて保存しておこう
スライド番号 |
スライドの内容 |
文章(例) |
見た目(例) |
1 |
タイトル |
ドラえもんは未来に帰れ!
2007年5月 |
|
2 |
本文 |
ドラえもんが帰るべき3つの理由
1. 時間犯罪者である
・未来から過去を変える意思をもって来た
・過去改変のために未来の道具を使う
2. 危険である
・地球破壊爆弾のような超兵器を持っている
・ネズミが出ると理性を失う
3. のび太をますますダメにする
・ドラえもんの道具でいつもラクをしている |
|
新しいスライドを挿入するには? → Chap. 1 Q1
箇条書きのレベルを変えるには? → Chap. 2 Q8
箇条書きの行頭文字を変えるには? → Chap. 2 Q9
5.4 スライドのレイアウト
- 同じような内容のスライド(たとえば、グラフが入っているスライド、文字だけのスライド、など)は同じような画面構成になっている方がわかりやすい
- PowerPointは、この目的のためにできあいのスライド構成をたくさん持っている。これを「スライドのレイアウト」と呼ぶ
- スライドのレイアウトを使うと、文字のサイズなどが自動的に調整される→統一感のあるプレゼンテーション
練習問題1. 上の例題で作成した presen1 を呼び出して、スライドのレイアウトを2段組と縦書きに変えてみなさい
レイアウトを変えるには? → Chap. 1 Q2
5.5 スライドのデザイン
- プレゼンテーションのデザインは背景、文字サイズ、色その他沢山設定できることがある
- しかし、ゼロから全部設定するのは結構大変
- そこで、PowerPointにはあらかじめデザインされたものがたくさん含まれている
- このできあいのデザインを「スライドのデザインテンプレート」と呼ぶ
スライドにデザインを設定するには? → Chap. 3 Q13
デザインの配色を変えるには? → Chap. 3 Q14
スライドの背景に画像を挿入するには? → Chap. 3 Q15
スライド番号を挿入するには? → Chap. 3. Q16
練習問題 2. presen1 を使って以下のデザイン変更を行ってみなさい
- デザインテンプレートから「Daruma」というダルマの絵がはいったものを探し、presen1
に設定する
- 自分で好きなデザインテンプレートを選んで、presen1 に設定する
- デザインの配色を変えて、見栄えがどのように変化するか確認しなさい
- スライドの番号を各スライドに自動的に表示するように設定しなさい
- 各スライドの下部中央に「経済情報処理I」という文字列がはいるように設定しなさい
まとめの問題
あなたが作成したプレゼンテーションや、そこに設定したデザインは、「論理的なプレゼンとは」で示されたガイドラインに沿っていますか? 沿っていない点があればどのように修正したらいいか考えてみなさい。
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©2007, Hiroshi Santa OGAWA
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