Tips: グラフの元データを指定する

既に見たように、下図で赤丸を付けた部分の「列」「行」は、グラフウィザードを起動したときに選択していた範囲の中でどのようにデータ系列(1種類のデータの列)を取るかをExcelに指示するラジオボタンになっている。指示するといっても、最初はExcelがどう考えているか(*1)を表しているので、その理解が正しければ特に人間が操作する必要はない。このケースでは、列方向に総人口および生活保護被保護人員数が取られているデータなので、Excelの理解通り「列」でよい。

実際にどのようにExcelが系列およびそこに含まれるデータを理解しているかは、図中黄丸で囲んだ「系列」タブをクリックすると明らかになる。「系列」で開くダイアログの内容は、グラフの種類によって異なるので、以下ではよく使うであろう散布図と折れ線グラフの場合について説明する(棒グラフは折れ線グラフとほとんど同じ)。

*1)経験的には、Excelは選択範囲に含まれている行の数と列の数を比較して、系列数が少なくなるようにデータの方向を選んでいるようである。そのため、1系列のデータ数が少なく、かつ同一グラフに多数の系列を描きたいような場合は明示的に指示する必要がある。

1. 散布図での系列指定

上図は散布図を作ろうとした場合の「系列」の中身である。以下に部分ごとの説明をまとめる。

名前
1つのグラフのなかで各系列につけられるラベルである。グラフ中では、凡例を表示した場合にこの名前が系列ごとに表示される。名前を指定しない場合(図 3中の「名前」欄が空白のままの場合)、「系列1」「系列2」....といった味気ない名前が自動的に付けられてしまうので注意。グラフの中での識別名なので、系列が1つしかなければあまり意味はない。
Xの値, Yの値
散布図は、X-Yのデータ組を座標平面上にプロットしていくため、系列指定も1系列のなかにXとYの両方が含まれることになる。ExcelではXの値とYの値を別々に指定して、並びの順に組み合わせてグラフ表示に使用する。並び順で組み合わせていくため、Xの値として指定するデータの個数とYの値として指定するデータの個数は一致していないとまともなグラフにはならない。
追加・削除ボタン
データ系列をグラフに追加したり、余計なデータ系列(大体は、グラフウィザードが勘違いして勝手に入れてしまった系列)を削除したりするために使う。削除するときは「系列(S)」と書いてあるリストボックス内で削除したい系列をクリックして選択してから「削除(R)」ボタンを押す。追加したいときは、「追加(A)」ボタンを押すと、「系列(S)」リストボックスに新しく「系列n」(nは数字)として系列が追加されるので、系列名やデータを手作業で指定すればよい。

2. 折れ線グラフでの系列指定

上図に折れ線グラフの場合の系列指定を示す。散布図と異なる点は

  1. 系列ごとの値指定が1セットしかない。ここに指定したデータは、グラフのY軸方向への高さとして使われる。
  2. 「項目軸ラベル」という新しい要素が入っている。折れ線グラフでは、X軸方向の値は単に「値」で指定したデータ列の順序を表すだけなので、その順序がなにを表すかはこの部分でラベルを付けてやらないといけない。項目軸ラベルは、1つのグラフの中ではすべての系列に共通して用いられる。

の2つである。項目軸ラベルは単なるラベルであるので、数値である必要はない。

折れ線グラフで特に注意が必要なのは、グラフウィザードは人間の気持ちとしては項目軸ラベルになっていて欲しい部分をデータ系列として入れてしまうケースが非常に多いことである。下図にそのような不幸な例を示す。選択範囲の一番左が西暦年であるから人間の気持ちとしては当然ここを項目軸ラベルに使って欲しいのだが、Excelはデータ系列だと思いこんで間抜けなグラフを提案してくる。このような場合は

  1. 余計なデータ系列(この場合は「調査年」)を「削除(R)」ボタンで削除する
  2. 調査年を別途「項目軸ラベルに使用」の欄に指定する

という操作を行う必要がある。

勘違いするグラフウィザード

もちろん、選択範囲の一番左側が文字列であるなどの理由でExcelが勘違いしようがないというケースは問題ないが、折れ線グラフでは横軸も数値であるケースが多いためExcelの勘違いは頻発する。折れ線グラフでは、項目軸ラベルに使いたいデータについては選択範囲に入れないで後でグラフウィザード内で明示的に指定する習慣を身につけた方が面倒でなくてよい。