経済情報処理では、授業で使うアプリケーションとしてはマイクロソフト Office 2003を基本としています。このバージョンは2007年6月30日にメーカー出荷停止となっていますので、今から新規に小売店で購入する方法はありません(*1)。この講義を受講している皆さんも、最近買ったコンピューターの場合はマイクロソフト Office System 2007がプリインストールされている、あるいは自分で買ってインストールしたことでしょう。
それでは、なぜ最新の Office System 2007ではなく、前のバージョンである Office 2003を使うのか? 神奈川大学のPC実習環境には、Office System 2007も既にインストールされていますので、「Office System 2007がないから」という消極的な理由ではありません。大きく以下の3つの理由があります。
表1、表2に示すように、2007 Office Systemの導入は進んでいない。また、表1を見ると1つ前のバージョンである Office 2003であっても導入割合は4割程度である。2007 Office Systemが今後順調に導入されていったとしても、数年後の段階で主流となっているかどうかすら怪しい。
表1. 企業におけるOffice系ソフト導入状況
オフィス系ソフト | 利用割合 |
---|---|
Office 2000 | 27.6% |
Office XP | 20.5% |
Office 2003 | 39.7% |
2007 Office System | 4.4% |
その他 | 7.8% |
2007年5月 マイクロソフト調べ(http://www.atmarkit.co.jp/news/200710/22/vista.html)
表2. 2007 Office Systemの利用状況
2007 Office System保有率(1本以上) | 30.9% |
2007 Office System 標準利用率 | 0.6% |
2007年9月 日経パソコン調べ(「日経パソコン」2007年12月10日号)
細かい仕様の変更はあるものの、「何ができるか」という本質的な部分については大幅な変更はない。ユーザーインターフェースは大きく変更したとマイクロソフト自身が言っているが、メニュー内に元々あったものの配置と画面表示の方法が変わったという側面が大きい。そのため、単なる操作方法ではなく、「なんの為に、どういうデータ操作を行うか」を理解していれば乗り換えは容易。
Office 2003にしろ 2007 Office Systemにしろ、大学での環境と自宅での環境が一致していない場合は互換性の問題が生じる。一般的に、古いバージョンのアプリケーションで作成したデータは新しいバージョンで正しく扱えるが、逆は困難な場合が多い。そのため、講義でベースとして用いる環境は、古いバージョン(Office2003)にしておくほうがより多くの環境で扱えるデータを作成可能である。
自宅もバイト先もみんな 2007 Office Systemになっていて、Office 2003だとどうしても不便という人は、2007 Office Systemを使うクラスも 3クラスだけ(月3、水2、水3)ですが用意してあります(使うアプリケーションがちがうだけで、内容は同一です)。
(*1) Office 2007からのダウングレード権があるライセンス(たとえば、ボリュームライセンスなど)でOffice2007を購入すれば、Office 2003を実質的に新規に購入することは可能です。ただし、一般に売っている Office 2007のパッケージ製品にはダウングレード権がついていませんので、この手は使えないことには注意してください。