2007年度経済情報処理
例題1. 請求書を作成する(無駄)
下の図のように商品名、商品単価、数量が表として与えられている場合に、小計を計算した列を追加することを考えてみよう。
A | B | C | D | E | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 番号 | 商品名 | 単価 | 数量 | 小計 |
2 | 1 | 2GB USBメモリ | 6580 | 32 | |
3 | 2 | 2GB SDメモリーカード | 4780 | 13 | |
4 | 3 | 2GB メモリースティックPRO | 4980 | 23 | |
5 | 4 | 2GB xDピクチャーカード | 7980 | 11 |
参照を使わないで計算する場合には、
と入力すれば一応計算はできる。しかし、この方法の一番ダメなところは、「Excelに入力済みのデータを、計算式の中で再度入力している」こと。時間がかかるし、入力ミスの可能性も増える。無駄
例題2. 請求書を作成する
あるべき手順は以下の通り。
Step 1. 計算式を1つ作成する
E2セルに入力すべき内容は、C2セルの内容(単価)とD2セルの内容(数量)を掛けたものであるから、ここは内容を再入力するのではなく、C2セルとD2セルの値を参照した計算式を使うのが正しい。
Step 2. 計算式を必要なだけコピーする
残りのE3、E4、E5セルにも計算式を入力する必要があるが、Step1と同じように計算式を再度入力するのは無駄。Excelではこのような場合、計算式のコピーを行えば自動的に参照しているセルを調整してくれる。
計算式コピーのやりかたを覚えていない場合は、第2回を参照
できあがりはこんな感じになる。
練習問題1.
商品名、単価、数量が入力されたブック(goods.xls)を右ボタンクリックでダウンロードし、例題2と同様に小計を計算し、小計に5%を掛けて消費税額も計算してて保存しておきなさい。
練習問題2. 複利計算を行う
利息の計算期間が1年のとき、年利5%で10000円を10年預金する。10年後の元利合計を求めなさい。
ヒント
(*1)実際の預貯金における1円未満の利子に関する扱いは、契約によって異なる
例題3. 消費税率が変わった時にラクができるワークシートを作成する
消費税率は2007年10月には5%であるが、今後社会保障費の増大などに伴い消費税率を引き上げようとする動きは強まっていくものと考えられる。そうなると、練習問題1でやったように計算式の中に変わるかもしれない 5%という値を埋め込んでおくことはあまり望ましくない。そこで、下の図のように商品名、商品単価、数量が表として与えられており、さらに消費税率が特定セル(下の図の場合はB1セル)に入力されている場合に、小計をもとに消費税額を計算することを考えてみよう。
A | B | C | D | E | F | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 消費税率 | 5% | ||||
2 | 番号 | 商品名 | 単価 | 数量 | 小計 | 消費税額 |
3 | 1 | 2GB USBメモリ | 6580 | 32 | ||
4 | 2 | 2GB SDメモリーカード | 4780 | 13 | ||
5 | 3 | 2GB メモリースティックPRO | 4980 | 23 | ||
6 | 4 | 2GB xDピクチャーカード | 7980 | 11 |
Step 1. 1行分の計算式を作成する
小計のE3セルに入力すべき内容は、C3セルの内容(単価)とD3セルの内容(数量)を掛けたものであるから、
さらに、消費税額の F3セルは、上で計算した小計 E3セルの値と、消費税率 B1セルの値を掛けたものであるから、
と書きたいところだが、ここは以下のように書く。
※$(ドル記号)は、Shiftを押しながら4のキー(テンキーではなく、アルファベットが並んでいる方の)を押すと入力できる
Step 2. 計算式をコピーする
できあがりはこんな感じ。
Step 3. コピーされた計算式を確認しておく
この例題で新しい要素は、Step1で入力した $B$1という、セル参照である。この参照は計算式をコピーしても調整されないため、いつも同じセルを参照できるという特徴がある。実際にF4〜F6のセルに入っている計算式を表示してみると以下のようになっているはず。
練習問題3
練習問題1で作成したgoods.xlsを改造して、例題3のように絶対参照を利用して消費税率を簡単に変えられるようにしなさい
実際に消費税率を8%、10%、15%に変えてみて、消費税額が自動的に再計算されていることを確認しなさい
練習問題4
練習問題2では5%という年利が計算式の中に埋め込まれていたが、例題3のように絶対参照を利用して年利を簡単に変えられるようにしなさい
実際に年利を0.3%、8%に変えてみて、10年後の元利合計が自動的に再計算されていることを確認しなさい
例題4. 以下の表はきつね食品の営業資料である。このデータを使って冷凍うどん市場の分析を行う
冷凍うどん売上高(億円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
きつね食品 | 10 | 12 | 15 | 9 | 8 | 7 | 7 | 6 | 7 | 8 | 9 | 12 |
たぬき物産 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
いなり産業 | 10 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 | 22 | 24 | 26 | 28 | 30 | 32 |
Step 1. きつね食品の売上高を棒グラフにしてみる
グラフを作成するには? → Excel編 Q33
まず、きつね食品の売上高を棒グラフにしてみよう。使うグラフの種類は「集合縦棒」を使う。タイトルとラベルは以下のように指定する
できあがりはこんな感じ。
これだけ見ると、きつね食品の冷凍うどんは寒い時期には売れるが夏はあまり売れないという(あまりおもしろみのない)結論が出そうである。しかし、他社との比較でどうなっているかも調べたいので、市場占有率(シェア)もグラフ化してみる。
Step 2. 各社の市場占有率を計算する
ある会社(Aとしよう)の市場占有率は、A社の売上高÷市場全体での売上高 で計算できる。そこで、まず各月の市場全体での売上高を計算する
Step 2-1. 市場全体での売上高の計算
各月の市場全体での売上高を計算するためには、月ごと(つまり、列方向)に売上高を足しあわせればよい。
合計を求めるには? → Excel編 Q20
ここまで計算するとこんな感じ
Step 2-2. 各社の市場占有率を計算する
既に各月の市場全体での売上高は計算済みなので、各社の売上高を市場合計で割れば市場占有率が計算できる。上の図のようにデータが入っている場合できるかぎり計算式の入力回数を減らして、コピーでラクをすることを考える。
Step 2-2-1
きつね食品の1月でのシェアは
という計算式で求める。(=B2/$B$5ではないことに注意)
Step 2-2-2
残りのシェアを計算するために、B8セルの計算式を3社の1〜12月のセルに計算式コピーする
できあがりはこんな感じ
Step 2-2-3
コピーの結果セルに入っている計算式が正しいかどうか、いくつか抽出して確認しておく。以下のようになっていれば多分OK。
Step 3. きつね食品の売上高とシェアを同じグラフに表示する
離れた範囲のデータを使ってグラフを作成するには? → Excel編 Q33 Column
使うグラフの種類は 「ユーザー設定」の中にある「2軸上の折れ線と縦棒」を使う。タイトルとラベルは以下のように指定する
この作業でできるグラフはこんな感じ
Step 3-2
このままだと、縦棒も折れ線も両方とも「きつね食品」になっていて訳がわからないので、系列の名前を「売上高」「市場占有率」に書き換える。縦棒が売上高、折れ線が市場占有率である。
系列の名前、項目軸ラベルを変えるには → Excel編 Q36
練習問題5. 例題4のデータで、たぬき物産、いなり産業についても同様のグラフを作成しなさい
練習問題6: 19×19の計算表をつくる
インドでは日本で言う九九の代わりに、19×19までの積をすべて覚えるという。このために 19×19の表をつくりなさい
Tips: いろいろな絶対参照
Tips: Excel での内部表現から相対参照と絶対参照を理解する
以下の表は我が国の一般会計歳入の内訳を示している。各歳入項目が歳入全体にしめる割合を平成元年と平成18年について計算し、歳入項目ごとの金額と割合を2軸の縦棒と折れ線グラフで表しなさい。
©2007, Hiroshi Santa OGAWA
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