第25課 ページ設定、ヘッダー・フッターの挿入
第25課の目標
- ページの体裁(ヘッダー(header)、フッター(footer)、用紙サイズ、段組など)を設定できる
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準備問題
Wordを起動して、以下の文章(寺田寅彦「災難雑考」の一部)を Copy&Pasteで貼り付けてみなさい。ただし、文書の書式はWord側で設定するため、「形式を選択して貼り付け」機能を使って「テキスト」で貼り付けること。
改段と書いてある部分は段落替えを示す。ふりがなは、Wordのふりがな機能(Word編 Q14)を使って入力すること。
「大垣[おおがき]の女学校の生徒が修学旅行で箱根[はこね]へ来て一泊した翌朝、出発の間ぎわに監督の先生が記念の写真をとるというので、おおぜいの生徒が渓流[けいりゅう]に架したつり橋の上に並んだ。すると、つり橋がぐらぐら揺れだしたのに驚いて生徒が騒ぎ立てたので、振動がますますはげしくなり、そのためにつり橋の鋼索が断たれて、橋は生徒を載せたまま渓流に墜落し、無残にもおおぜいの死傷者を出したという記事が新聞に出た。これに対する世評も区々で、監督の先生の不注意を責める人もあれば、そういう抵抗力の弱い橋を架けておいた土地の人を非難する人もあるようである。なるほどこういう事故が起こった以上は監督の先生にも土地の人にも全然責任がないとは言われないであろう。しかし、考えてみると、この先生と同じことをして無事に写真をとって帰って、生徒やその父兄たちに喜ばれた先生は何人あるかわからないし、この橋よりもっと弱い橋を架けて、そうしてその橋の堪えうる最大荷重についてなんの掲示もせずに通行人の自由に放任している町村をよく調べてみたら日本全国におよそどのくらいあるのか見当がつかない。それで今度のような事件はむしろあるいは落雷の災害などと比較されてもいいようなきわめて稀有[けう]な偶然のなすわざで、たまたまこの気まぐれな偶然のいたずらの犠牲になった生徒たちの不幸はもちろんであるが、その責任を負わされる先生も土地の人も誠に珍しい災難に会ったのだというふうに考えられないこともないわけである。
改段
こういう災難に会った人を、第三者の立場から見て事後にとがめ立てするほどやさしいことはないが、それならばとがめる人がはたして自分でそういう種類の災難に会わないだけの用意が完全に周到にできているかというと、必ずしもそうではないのである。
改段
早い話が、平生地震の研究に関係している人間の目から見ると、日本の国土全体が一つのつり橋の上にかかっているようなもので、しかも、そのつり橋の鋼索があすにも断たれるかもしれないというかなりな可能性を前に控えているような気がしないわけには行かない。来年にもあるいはあすにも、宝永四年または安政元年のような大規模な広区域地震が突発すれば、箱根[はこね]のつり橋の墜落とは少しばかり桁数[けたすう]のちがった損害を国民国家全体が背負わされなければならないわけである。
改段
つり橋の場合と地震の場合とはもちろん話がちがう。つり橋はおおぜいでのっからなければ落ちないであろうし、また断えず補強工事を怠らなければ安全であろうが、地震のほうは人間の注意不注意には無関係に、起こるものなら起こるであろう。
改段
しかし、「地震の現象」と「地震による災害」とは区別して考えなければならない。現象のほうは人間の力でどうにもならなくても「災害」のほうは注意次第でどんなにでも軽減されうる可能性があるのである。そういう見地から見ると大地震が来たらつぶれるにきまっているような学校や工場の屋根の下におおぜいの人の子を集団させている当事者は言わば前述の箱根つり橋墜落事件の責任者と親類どうしになって来るのである。ちょっと考えるとある地方で大地震が数年以内に起こるであろうという確率と、あるつり橋にたとえば五十人乗ったためにそれがその場で落ちるという確率とは桁違いのように思われるかもしれないが、必ずしもそう簡単には言われないのである。
改段」
1. ページ書式の設定
例題1. ページ設定と段落の入力
用紙サイズを B5、1行の文字数を30字、1ページの行数を 25行に設定して以下の文書を入力してみなさい。ただし、以下の文章で改段と書いてある部分は段落替えを示す。(※コピー&ペーストを使ってもよいが、その際は「形式を選択して貼り付け」で「テキスト」を選んで貼り付けること)
用紙サイズや余白、文字数などを設定するには? → Word編 Q25
入力がおわったら、t1 という名前で保存しておきなさい。
Tくんは悩んでいた。中間試験の成績が良くなかったので、お母さんに散々絞られた上、期末試験の成績が学年平均点以下の科目があったら、科目数×200円だけ月々の小遣いを減らすと通告されたからだ。1学期の期末試験が終わるのは7月、中間試験なみに成績が悪かったら、2
学期の中間試験で点を取り直したとしても10月までの3 ヶ月間は小遣いの大幅カットは間違いなく、楽しくない夏休みになってしまう。改段
「大体、お母さんの言うことは無茶なんだよな。平均点って言ったら学年の真ん中ってことじゃないか。真ん中ってことは半分の人は平均点以下の得点なんだから、お母さんの要求を満たせない人は学年の半分いるはずじゃないか。学年の半分の人が満たせないような条件を小遣いカットに使うなんて不条理だ。」とぶつぶつ文句を言っているTくん。そんな暇があれば試験勉強しろよというつっこみはさておき、T
くんの主張は正しいのだろうか?改段 |
例題2. 文字飾り
例題 1で入力した文書の続きとして以下の文章を挿入しなさい(※コピー&ペーストを使ってもよいが、その際は「形式を選択して貼り付け」で「テキスト」を選んで貼り付けること)。
※添字や太字、アンダーラインなどはWord側の書式指定で行うこと。
入力が終わったら、t2 という名前で保存しておきなさい。
蛍光ペンや傍点をつけるには? → Word編 Q12
中間試験が壊滅的だったのは、化学がほぼ0点だったからなんだけど、あれは一酸化二水素なんて変な書き方して引っかける化学の先生が根性悪なんだ。普通にH2Oと書いてくれれば、僕だって水のことだとすぐに分かったのに。アメリカで水のことを DHMO(Dihydrogen Monoxide)って小難しい書き方して、「毎年大勢の人がDHMOの過剰摂取で死んでいる」とか、「DHMO中毒の人からDHMOを取り除くと死ぬ」みたいなネガティブに見える情報並べて「だからDHMOの利用は規制すべきだ」とやったら引っかかった人が沢山いたからって、試験問題でそんな出題することないじゃないか。アメリカの例では8割以上引っかかったらしいけど、うちのクラスは6割だったから優秀と言われても、どうせ僕はちょっと難しい表現が出てくると思考停止してしまい、その周辺の煽り文句に引っかかってしまう考えなしさ。改段 |
例題3. 行頭文字下げ
Wordの標準スタイルでは、段落の先頭文字下げは設定されていない。ビジネス文書だと、段落間の区切りは段落の先頭文字下げよりも段落間のスペースで処理することが多いのでこれでも構わないが、大学のレポートだと「段落の先頭文字下げを行っていないなど論外」という先生が結構いる。手作業で段落の先頭に空白文字を入力するといろいろ問題があるので、書式設定で処理する。
Step 0.. 文書を開く
上で保存したt1を開く
Step 1. ルーラーを表示する
インデントの類を設定するためには、文書内の位置を表示するための物差し(ルーラー;ruler)を表示する必要がある。ルーラーは初期設定では表示されていないので、表示-表示-[ルーラー]にチェックを入れて表示するようにしておく。
ルーラーを表示するには → Word編 Q1
Step 2. 1行目のインデントを変える
1行目のインデント;indent、文字下げを設定したい段落を選択する。今回は全ての段落に設定したいので、Ctrl + Aで文書全体を選択しておくと楽。
この状態で、ルーラーの上のマーカーを選択して、[1行目のインデント]の吹き出しが表示されたら右にドラッグする。
1行目のインデントを変えるには? → Word編Q23(1)
できあがりはこんな感じ。t3というファイル名をつけて保存しておきなさい。
練習問題1. 段落書式設定で段落先頭文字下げを設定してみる(☆☆)
例題3での設定方式は、ルーラー位置を設定してという方式なので設定をミスると「1字下げ」にならない可能性がある。
- 段落先頭文字下げを設定したい段落を選択する
- 右ボタンクリックで表示されるポップアップメニューから[段落]を選ぶ
- [インデント]の最初の行字下げ幅を[1字]に設定する
という操作でも段落先頭文字の字下げを設定できる。(結果的にやっていることは同じ)
練習問題2.
以下の文章を入力してみなさい(※コピー&ペーストを使ってもよいが、その際は「形式を選択して貼り付け」で「テキスト」を選んで貼り付けること)。できあがった文書ファイルはt4という名前をつけて保存しておきなさい。
R2やH20を入力するには? → Word編 Q10
有機物質は、原子同士の結びつきが重要なので単純に原子の数だけ書いても何がなんだかわからないことが多い。たとえばC6H12O6はブドウ糖の組成式でもあるが、実は果糖も同じ組成式である。でも分子の中での結合状態が違うため、ブドウ糖と果糖はかなり違う性質を示す。たとえば甘みなどは全く異なる。この問題を避けるために、たとえば酢酸(CH3COOH)は、C2H4O2ではなく、原子の結合状態が分かるように CH3COOHと書くわけだ。このような書き方を示性式と呼ぶ。
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2. ヘッダー・フッターの設定
- ページの上にある余白部分をヘッダー、下をフッターとよぶ。ここには指定した文字列を表示することができる
- 各ページに表示しておきたい文書名やページ番号などはここに設定すると便利
ヘッダーやフッターを表示するには → Word編 Q27
ページによってヘッダーとフッターの内容を変えるには? → Word編 Q28
例題4. ヘッダーとフッターに文書のタイトル、ページ番号、作成者名、日付を入れてみる
文書 t3のフッターの中央にページ番号、ヘッダーは以下のように入力する。入力が終わったら t5 と名前をつけて保存しておく。
※日付や作成者名は今日の日付、自分の名前に変更しておくこと。
練習問題3.
t5のフッターのページ番号を、「そのページのページ番号 / 全体のページ数」という形式にしてみなさい。
確認問題
1. 新しい文書を作成して、ページサイズをA4、40字×30行に設定しなさい。
2. 以下の文章を入力しなさい(コピー&ペーストでもよいが、「形式を選択して貼り付け」で「テキスト」として貼り付けること)。ただし、地の文のフォントはMS明朝、10.5ポイントに設定すること。また、段落先頭文字は1文字下げに設定すること。
桜の花と日本人
「日本人は桜が好きだ」とよく言われる。確かに、入学式の背景としても、花見酒の背景としても桜は欠かすことができない植物である。実際、日本では単に「はな」と言えば桜を意味することが一般的であり、日本における花の代表選手といえるだろう。
もっとも、古くは日本での「はな」は梅であったものが桜に変化してきたという経緯があるらしい。もちろん、「今日から『はな』は桜にします」という基準日あるわけではないが、菅原道真が太宰府に左遷された後の有名な歌である「東風吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」では単なる「はな」ではなく、わざわざ「梅の花」と限定している。このことから考えて、既にこの時期には「はな」が梅から桜に変化してきたことがうかがえる。同じく平安時代の歌で百人一首にも収録されている「ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花ぞ散るらむ」の「花」も桜だという話なので、まぁ平安期には桜が「はな」になったと考えていいだろう。
さて、桜といっても品種は沢山あるのだが、開花予想などでおなじみのソメイヨシノは実は全てクローンだということを知っているだろうか? ソメイヨシノは種子で増えることがない品種で、各地にあるソメイヨシノは全て人が接ぎ木などの手段で増やしたものである。接ぎ木では遺伝形質は変わらないので、全部クローンということになる。ソメイヨシノは一斉に開花し、一斉に花を散らしたりすることで喜ばれる品種でもあるが、これはクローンであるためにどの木も外的条件に同様に反応することが効いているという話である。もちろん、クローンであることはいいことばかりではない。たとえば、ソメイヨシノを枯らすような病害が発生した場合には、全てのソメイヨシノが一斉にダメになってしまうリスクが存在することになる。
ソメイヨシノに限らないが、「桜折るバカ、梅折らぬバカ」ということわざがあるとおり、桜は折ると傷口から腐ってしまいやすい植物である。花見はあくまで見るだけにして、酔っぱらって枝を折るというような乱暴な行為は避けるようにしたいものである。」
3. 文章中「はな」とカギ括弧で囲んである「はな」という文字列を、カギ括弧による強調ではなくフォントをMSゴシックに変更し、更に太字にする強調にしなさい。
4. ヘッダーに今日の日付とあなたの氏名をいれ、フッターにページ番号をいれなさい
5. hana-sakura という名前をつけて保存しなさい。
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