大原則: 他人の著作物を無断で使うことは著作者の権利を侵害するためやってはいけない。
しかしながら、著作権法にはいくつかの権利制限(制限されるのは著作権者の権利)規程があり、条件を満たせば引用として他人の著作物を利用することができる。
引用に関する著作権法の権利制限規定は、32条である。以下に条文を示す。
条文の上で定義されている引用して利用できる条件は、
であるが、これはかなり抽象的でわかりづらい。この条文で求められている条件について、(文化庁 2017)では以下のように説明している。
[1]主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3]必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性
また、出所の明示については、(文化庁 2017a)では
この法律の要件の1つに、引用される著作物の出所の明示(出典を明記すること なおコピー以外の方法(例 講演の際に他人の文章を引用し口述)により引用する場合はその慣行があるとき)を義務付けています(第48条)。
としている。
[3]は用もないのに引用はしないだろうし、[2]の条件は単に「そうすればいい」というだけの話なので、単にやればいい([1]の主従関係は後述する)。Wordを使ってレポートを作成しているのであれば、引用文という書式(スタイル)が初期設定で使えるようになっている。さらに、引用したものをWordの中で管理して、引用部分に出所情報を埋め込んだり、引用文献一覧を作成したりできる。逆に機械的にできることであるから、レポートを提出する際にこのような処理をしていない場合は一目で「ダメ」と判断できることになる。
Wordの資料管理機能を使って作成した参考文献リストの例を以下に示す。このような形で参考文献のリストが付いていないレポートは形式要件でダメ扱いされると考えておこう。
参考文献リストを付ける大きな理由の一つは、「レポートを読んだ人が元の資料に当たることができる」なので、出来る限り詳細に書くこと。「厚生労働省WEB」みたいなアホな表記ではどこを見たらいいかわからないのでダメ(厚生労働省のWEBに何万ページあると思ってるのか)。WEBを参照している場合は、必ずURLとアクセス日を書いておく。URLがないと資料を特定できないし、ネット上の文書は書き換えられるかもしれないので「参照したのはどの時点の情報か」を明確にしておかないとダメ。
文書全体の書式を統一するには? → Word編 Q34
引用文献目録を作成するには? → Word編 Q46
引用文献一覧を挿入するには? → Word編 Q47
[1]の主従関係の条件はそれほど単純には判断できないが、おおむね以下のような基準を満たしていれば大きな問題にはならないことが多い。
なお、写真や図版については権利関係が複雑なことが多いので、引用あつかいでの利用は難しいと考えた方がいい。権利者に連絡して使用許可を取るのが無難。
参考文献
(木下 1994) 木下是雄, 『レポートの組み立て方』, ちくま学芸文庫, 筑摩書房, 1994。
(文化庁 2017) 文化庁,「引用が認められる条件」『著作権なるほど質問箱』, http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000304, 最終アクセス日 2017年3月19日.
(文化庁 2017a) 文化庁,「出所の明示」『著作権なるほど質問箱』, http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000305, 最終アクセス日 2017年3月19日.
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