2006年度経済情報処理
例題1: 消費税を含む支払額の計算
外税の商品に対して、消費税額と支払総額を計算する。たとえば、八百屋で買い物をした際に合計額から簡単に消費税を出せる表を作ることを考えよう。金額は100円から2500円まで50円刻みで計算できるようにする
Step1. 100円の時を考える
この場合、
という計算式を使うことになる。これらの計算式は
であることを意味している。Excel の計算式では、計算式の中にセル番地を書くと、そのセルの値に置き換えて計算する。上の例で言えば
ということである。参照しているセルの値が変われば、計算結果も当然変わる。たとえば、セルA2 を 200に変更すると、セル B2 の値は 10、 セル C2 の値は 210 となる。
Step 2. オートフィルを使って、金額を50円刻みで金額を入力する
50円間隔で数値を入れるだけなので、100円の下に150円を入力してからオートフィルを使えば簡単に入力できる
Step 3. 消費税額と支払い総額の計算式をコピーする
練習問題1. 複利計算を行う
利息の計算期間が1年のとき、年利5%で10000円を10年預金する。10年後の元利合計を求めなさい。
ヒント
(*1)実際の預貯金における1円未満の利子に関する扱いは、契約によって異なる
練習問題2. 買い物をするためにショッピングリボ払いを利用した。支払い条件は以下の通り
このショッピングリボ払いを使って、7月に 60000円の買い物をした場合に、すべて支払い終わった時点での支払い総額を計算しなさい。
例題2: 消費税率を変えられるようにして、消費税額と支払総額を計算してみる
外税の商品に対して、消費税額と支払総額を計算する。たとえば、八百屋で買い物をした際に合計額から簡単に消費税を出せる表を作ることを考えよう。金額は100円から2500円まで50円刻みで計算できるようにする。ただし、消費税率を簡単に変えられるようにすること
Step 1. 消費税率をセルにデータとして入れる
今回は消費税率を定数として計算式に入れないので、セル B1に消費税率を入力して、計算式から参照する
Step 2. 100円の時の計算式を入力する
例題1と同様にセルに計算式を入れていくが、今度は 0.05という定数の代わりに セル B1 を参照するので消費税額の計算式が違うことに注意。具体的には
という計算式を入れてみよう。
Step 3. オートフィルを使って、金額を50円刻みで金額を入力する
50円間隔で数値を入れるだけなので、100円の下に150円を入力してからオートフィルを使えば簡単に入力できる。これは例題1と全く同じ
Step 4. 消費税額と支払い総額の計算式をコピーする
これも例題1と同じ……と言いたいが、うまくいっていないように見える
商品価格の時の消費税額は 150×0.05であるから 0のわけはない。おかしい。とりあえずセル B5 にどんな計算式がコピーされたか確認してみる必要があるだろう
期待する計算式は、商品価格( A5 )×消費税率( B1 )だが、実際にセル B5 に入っている計算式は =A5*B2である。セル B2 はデータが入っていない空白セルなので、計算式から参照されるときには 0 扱いになる。0を掛けているので当然計算結果は 0となる。
計算結果が 0 になる理由は分かったが、 Excel ではこのような計算式をコピーで入力できないのだろうか。だとしたら大変面倒なので Excel には「コピーしても調整されずに、計算式の中で常に同じセルを表す番地表現」が存在する。このような参照形式を「絶対参照」と呼び、 $B$1 のようにセル番地の表現に $マークをつける。これに対して何もついてないセル番地の表現は「相対参照」と呼ぶ。
では、絶対参照を使ってやり直そう。この場合は Step 2 で計算式を入れるところを修正すれば、Step 3以降は同じ手順で大丈夫
Step2改. 絶対参照を使った計算式を入力する
セル B1 は計算式をコピーしても変わっては困るので絶対参照として入力する
このあと、Step 3., Step 4を行うと、以下のようになる
計算式を見ると、以下のようになっており、確かに絶対参照にした部分は計算式をコピーしても変わっていない
Tips: Excel での内部表現から相対参照と絶対参照を理解する
練習問題3. 元本と金利を変えられるようにして複利計算を行う
利息の計算期間が1年のとき、
を入れる。10年後の元利合計を求めなさい。
練習問題4. 買い物をするためにショッピングリボ払いを利用した
支払い条件は以下の通り
このショッピングリボ払いを使って、7月にセル B3 に入力してあるだけの買い物をした場合に、すべて支払い終わった時点での支払い総額を計算しなさい。
絶対参照には、
の3種類がある。この3つには以下のような違いがある。
例題3: 消費税が商品の種類によって異なる場合の消費税計算表をつくる
消費税率が高率に引き上げられる際、消費税の逆進性を抑えるため生活必需品(たとえば食料品)には低い税率を適用する特例をもうけることが一般的である。このようなケースでは、同じ金額の商品を購入しても商品の種類によって適用される税率が異なる。そこで
の消費税を仮定して、消費税込みの支払額を計算する表を作成してみる。
Step1. 表の大枠を作成する
縦方向に購入金額(100円〜2500円、50円刻み)、横方向に消費税率(5%, 15%)を取って下図のように入力する
Step2. 支払総額の計算式を入力する
セル B7 → = $A7+$A7*B$3
セル B7 は、食料品を 100円買ったときの消費税込みの支払額を計算しているので、購入金額+購入金額×消費税率となる(*2)。このあとでコピーすることを前提としているため、金額の欄(A列)を参照している部分と、消費税率(3行)を参照している部分が絶対参照になっている。
(*2)もちろん、= $A7*(1+B$3 )と書いた方が座りがいいと思う人はそう書いてもかまわない
Step3. セル B7 の計算式をコピーする
最初からコピーするつもりで計算式を作ってあるので、今度は単純にコピーすれば大丈夫。
練習問題5: 例題3では、計算式の中で行あるいは列だけを絶対参照にしたが、これを行・列の両方を絶対指定した場合にはどのような不具合があるか試しなさい。
練習問題6: 元本を与えたときに、金利によって元利合計がどう変わるかを計算する
利息の計算期間が1年のとき、
を入れる。元本を変えれば再計算されるように注意した上で、各利子率に対応する 10年後の元利合計を求めなさい。
入力例:
練習問題7: 以下の表はきつね食品の営業資料である。このデータを使って以下の計算をしなさい
冷凍うどん売上高(億円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
きつね食品 | 10 | 12 | 15 | 9 | 8 | 7 | 7 | 6 | 7 | 8 | 9 | 12 |
たぬき物産 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
いなり産業 | 5 | 7 | 3 | 2 | 5 | 6 | 5 | 4 | 5 | 6 | 5 | 4 |
練習問題8: 以下の表は我が国の一般会計歳入の内訳を示している。各歳入項目が歳入全体にしめる割合を計算しなさい
練習問題9: 19×19の計算表をつくる
インドでは日本で言う九九の代わりに、19×19までの積をすべて覚えるという。このために 19×19の表をつくりなさい
練習問題10: 効用関数の値を計算する
Aさんの効用関数が U(x, y) = x y で与えられているとする。x, y がそれぞれ 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 の値を取るときの効用関数を表として計算しなさい
練習問題11. 買い物をするためにショッピングリボ払いを利用した
支払い条件は以下の通り
このショッピングリボ払いを使って、7月にセル B2 に入力してあるだけの買い物をした場合に、すべて支払い終わった時点での支払い総額を毎月の支払い額ごとに計算しなさい。
©2006, Hiroshi Santa OGAWA
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