2006年度経済情報処理
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1. 表計算ソフトをとりあえず使ってみる
- 表計算ソフトはデータを縦横の「表」の形で整理し、計算を行ったりグラフを作成したりできる
- 表計算ソフトは沢山のデータを一定の順番に並べ替えたり、特定の条件を満たすデータだけを抜き出したりできる
- この授業では、経済学部での学修で必要なデータ操作のために表計算ソフトを使う方法を学ぶ
- この授業で使う表計算ソフトは、Microsoft Excel 2003。参考書などを買うときは注意
1.1 Excelの基本
- 表計算ソフトではセル(Cell)と呼ばれるマス目が基本のデータ構造になる。文章や図表が基本構造だったワープロやプレゼンテーションソフトとは全く違うので注意
- セルには、数値、文字列、計算式(および、計算結果)などを入れることができる
- セルは表の形に並んでいるので、縦横の関係は強いが斜め方向の関係は苦手。データを整理する際にはこの制限を理解しておくことが重要
Excelの起動と画面の説明
- Excelはのアイコンをダブルクリックすると起動する。スタートメニューからも起動できる
- Excelの起動直後の画面は以下のような感じ。基本的なメニューやツールバーの配置はワードやパワーポイントと同じ
- メニューバー、ツールバーなどの使い方はWordと同じ
- Excel固有の要素は図中に書き込んである
- 数式バー:アクティブセルに入力したデータや計算式が表示される
- セル: Excelの一番基本になるもの。文字や数値や計算式を入力できる。画面上では、マス目一つがそれぞれのセルを表す
- ワークシート:セルを縦横の表に並べたもの。Excel 2003では1枚のシートは縦65536×横256=16777216個のセルを含む。単にシートとも呼ぶ
- セル番地:ワークシート内のセルを特定する座標データ。列番号と行番号を組み合わせて表す(例:AE86, BG9など)
- ブック:何枚かのシートを重ねたもの。Excelではブック単位でファイルとして保存する。初期設定では新しいブックを作成すると3枚のシートが含まれているが、メモリーの許す限り任意の枚数のシートを追加することができる
- 行番号: 一番上が1、一番下が65536の行位置を表す番号を表示
- 列番号: 一番左がA、順次B, C, …,Z, AA, AB, AC,…,AZ, BA, BB, …,IVとなる列番号を表示。IVは26×9+22で256列目になる
- アクティブセル:現在操作対象となっているセル。このセルにデータや計算式が入力される
- 名前ボックス:アクティブセルの座標(セル番地)が表示される
- ステータスバー:作業状態に関するメッセージ、操作やボタンの説明が表示される
- アクティブセルという考え方はとても重要。
- WordやPower Pointでのカーソル位置に相当する
- Excelでのいろいろな操作は、アクティブセルに入っているデータを対象にすることが多い
- データの入力や編集はアクティブセルに対して行う
ワークシート、行、列、セル、セル番地
- ワークシート
-
- Excelは、全てのデータ(文字・数字・計算式)を65536行×256列の巨大な「表」として管理している
- この1枚の表のことを「ワークシート」と呼ぶ
- 画面に表示されているのは、ワークシートのごく一部。どの部分が表示されているかは、列見出し/行見出しに書いてある列番号/行番号をみればわかる
- Excelは複数のワークシートをまとめて扱う。複数のシートを集めたものを「ブック」という
- Excelではブック単位で1つのファイルとして保存する
- 初期設定では、新しくブックを作成すると3枚のシートが含まれているが、必要に応じてシートを追加したり削除したりできる
- それぞれのシートには個別の名前がついている。初期設定で作られる3枚のシートには、Sheet1, Sheet2, Sheet3 という無味乾燥な名前がついている
- シートの名前は変更可能なので、シートの内容に応じて適切な名前に変更するとわかりやすい
- 実際に使えるシートの枚数はコンピュータの搭載しているメモリーによって制限される。空のシートであれば数万枚を1つのブックに入れることも可能
- 行
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- ワークシートの中で表の横方向に延びているのが「行」
- 1枚のワークシートには1行から65536行まである
- ただし、実際にデータを入力できる量はコンピュータの搭載しているメモリによって制限される
- 列
-
- ワークシートのなかで表の縦方向に伸びているのが「列」
- 1枚のワークシートのなかには256列ある
- 列の名前(列番号)はアルファベットでA列からB、C・・・と続き、AA、AB、AC・・・AZ、BA、BB・・IV列、という具合についている
- セル
-
- Excelの1枚のワークシート(表)は、縦65536個×横256個の小さなマス目に区切られている
- このマス目のことをセルという
- セルはワークシートの最小単位。セルには数値や文字列、計算式などが入れられる
- ワークシート上のデータは、各セルに格納される
- セル番地
-
- ひとつひとつのセルを識別するために、セルには「セル番地」がつけられている
- セル番地は、そのセルがある列番地と行番号を組合せて示す
- 例えばD列と3行が交差するセルは、D3というセル番地になる
- 計算式の中で他のセルに入力されているデータや計算式の値を参照するときはセル番地を使うことが多い
例題1. Excelを起動して、データをセルに入力する練習をしてみる
Step 1. をダブルクリックして Excelを起動する
Step 2. → ← ↑ ↓キーを使ってB2をアクティブセルにする
Step 3. あなたの名前(例:神奈川さくら)を B2に入力する
Step 4. 同様に、以下のデータを入力する
- セルB3→あなたの大学・学部・学科名(例:神奈川大学 経済学部 経済学科)
- セルB5→ 英語 という文字(英語Enter)
- セルB6→ 数学 という文字(数学Enter)
- セルC5→ 400 という数字(400Enter)
- セルC6→ 300 という数字(300Enter)
できあがりはこんな感じになる。
Step 5. calcfile という名前をつけてマイドキュメントに保存する(lはアルファベットのエル(小文字))。保存の手続きなどはWordや
PowerPointと同じ
Step 6. Excelを終了する
Tips: アクティブセルを指定するには?
アクティブセルを指定する方法は、
- 矢印キー(→ ← ↑ ↓)で現在のアクティブセルから順次移動していく
- アクティブにしたいセルにマウスカーソルを合わせクリックする
などの方法がある。どちらを使っても結果は同じなので好きな方を使えばよい
Tips: 入力を間違えてしまったときは?
例題2. Excelをとりあえず使ってみる---簡単な集計とグラフ---
- 表計算ソフトを使ってアンケート結果を簡単に集計し、結果をグラフにまとめてみる
- 目標は、下図のような表+グラフを作成すること
- 実際の作業内容は以下の通り
- 表にデータを入力する(Step1)
- 列の幅を表示内容に合わせて調整する(内容に応じて、幅を広くしたり狭くしたりする)(Step2)
- 罫線を使って表を見やすくする(Step3)
- 「旅行先アンケート」という標題の文字を大きくして目立つようにする(Step4)
- 表に入力したデータをつかって、Excelに合計を計算させる(Step5)
- 表に入力したデータを使って、グラフを作成する(Step6)
- 表に名前をつけて保存する(Step7)
- 表とグラフを印刷する(Step8)
Step 1. 表にデータを入力する
- Excelを起動して、新しいワークシートを開く
- 以下のようにデータを入力する
- セルA1→ 旅行先アンケート という文字
- セルB2→ Q1.あなたがいきたい旅行先を、次のなかから選択してくださいという文字
- セルB4→ 渡航先という文字
- セルB5→ アメリカ(本土)という文字
- セルB6→ ハワイ という文字
- セルB7→ ヨーロッパという文字
- セルB8→ インド という文字
- セルB9→ 香港 という文字
- セルB10→ その他 という文字
- セルB11→ 合計 という文字
- セルC4→ 回答数という文字
- セルC5→ 30 という数字
- セルC6→ 85 という数字
- セルC7→ 40 という数字
- セルC8→ 20 という数字
- セルC9→ 30 という数字
- セルC10→ 40 という数字
Step 2. 列幅を調整する
- セルB5の「アメリカ(本土)」という文字が右端で切れてしまっている
- これは、画面上での表示幅が足りなくて表示できないだけ。データとしての文字はちゃんと入っているが見えないだけ
- Excelではセルの幅は列単位で変更できる。つまりセル単位の幅ではなく列幅ということ
- セルB5が含まれる列全体は、B列と呼ぶ。ここではB列の幅を広くしてみる。ついでに、A列の幅は少し狭くしてみよう
手順
- マウスポインタを列見出に持っていき、B列とC列の区切りのあたりに持っていく
- するとマウスポインタの形状がのように変わる
- マウスポインタの形状が変わったところで、マウスの左ボタンを押したままでマウスを左右に動かすとB列の幅がそれに伴って変わる
- 適当な幅になったところろで左ボタンを放す
- 同様にA列とB列の間に持っていき、A列の幅を狭くする
※各列の幅は別々に管理されているので、A列とB列の間でA列を狭くしてもB列の幅には影響しない
Step 3. 罫線を使って表を見やすくする
- アンケートのデータをまとめている表部分(範囲B4:C11)(*1)に罫線を引いてみよう。
- マウスでB4とC11を対角とする範囲を選択する。手順は次のとおり。
- セルB4をクリックする。
- マウスの左ボタンを押したまま、セルC11にポインタがくるまで移動する。
- マウスの左ボタンをはなす。
- ツールバーの罫線のところを選択する。罫線の種類は小さな逆三角マークを押して種類の一覧を表示して、そのなかから格子を選ぶ
- 罫線が引けた
Tips. 長方形範囲の選択
Tips: 罫線を消したいとき
罫線を消したいときは、罫線を消したい範囲を選択したあとで、ツールバーから罫線ツールを選び、左上の全て点線になっている「枠なし」を選べばよい
Step 4. 「旅行先アンケート」という標題の文字を大きくして目立つようにする
- セルA1をアクティブセルにする
- WordやPowerPointと同様に、ツールバーにあるフォントサイズツールを使って文字サイズを大きくする。ここでは24ポイントにしてみよう
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→ |
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Tips: ツールが隠れてしまったとき
Excelでは画面の幅が狭くて全てのツールが表示できない場合、使用頻度が低いツールはツールバーに並ばないで見えなくなってしまうことがある
フォントサイズツールがツールバーにない!
このようなときには、ツールバーの右端に出ているをクリックすることによって、折りたたまれているツールバーの内容が表示される
Step 5. 表に入力したデータをつかって、Excelに合計を計算させる
- 合計欄(この例題ではセルC11)に回答数の合計を表示しよう
- 人間が足し算をして、その結果を入力するのではなく、「ある範囲の数値の合計を計算する」という計算式をこのセルに入れて、Excelに計算させよう
- Excelが計算するようにしておくと、表の数字を変更・修正したときに自動的に再計算が行われる。これを「自動再計算機能」と呼ぶ
- 自動再計算機能は、表計算ソフトの基本的かつ重要な機能
- 「合計を計算する」計算式は多用されるためツールバーのボタンから簡単に入力できる。以下の手順で合計を計算してみよう
- C11をアクティブセルにする
- ツールバーのをクリックする
- 以下のような画面になることを確認する。これで、セルC11に「範囲内の数値の合計を計算する」関数
SUMが自動的に入力される。この例では、範囲
C5:C10に入っている数値を合計する計算を行う関数が入力されている(*2)
- Enterキーを押すと、セルC11に計算結果が表示される(*3)
Step 6. 表に入力したデータを使って、グラフを作成する
- アンケート結果のグラフをドーナツグラフ(円グラフの真ん中が中空になっていて、ドーナツのように見えるグラフ)にしてみよう
- Excelを使うと、手作業では大変だったグラフ作成が簡単に行える
- 実際のデータを分析するときにはグラフはとても重要
- Excelではツールバーにあるグラフ ウィザードを使えば簡単にグラフを作成できる。以下の手順でグラフを作ってみよう
- グラフにしたいデータの範囲B4:C10(*4)を下図のように選択する
- ツールバーにあるグラフウィザードのボタンをクリックする
- グラフの種類を選択する(*5)。ここでは「ドーナツグラフ」をクリックして選ぶ。種類を選択したら [次へ]をクリックする
- データ範囲とグラフのプリビューが表示されるので、確認したら[次へ]をクリックする
- グラフのタイトルを入力する。最初はデータ範囲として選択した範囲の先頭行に入っている「回答数」がグラフタイトルとして入っているので、「海外旅行希望アンケート」と入力する(まだ[次へ]はクリックしない)
- →
- [データラベル]のタブをクリックする
- 「パーセンテージを表示する(P)」を選択し、[次へ]をクリックする
- グラフの作成場所が「オブジェクト」「Sheet1」になっていることを確認する。これはSheet1という既存のワークシート上にグラフを置くという意味。もともとのデータの表を Sheet1に置いているので、その上に一緒にグラフを置きたい。確認したら[完了]をクリックする
できあがり
Tips: グラフの選択・非選択
グラフの枠に小さな■(サイズ変更ハンドル)が表示されているときは、グラフが「選択されている」状態。グラフの大きさを変更したり、位置を変えたりするときはこの状態でないと駄目
Step 7. 表に名前をつけて保存する
グラフに ftravel という名前をつけて保存する(保存のやりかたはPowerPointやWordと同じ)
Step 8. 表とグラフを印刷する
- きれいにグラフや表ができても、実際には印刷して利用することが多い
- Excelでの印刷で一番多い失敗はグラフや表の一部分が別のページに印刷されてしまい、訳が分からなくなること
- 必ずプレビュー機能を使ってどのように印刷されるかチェックしてからプリンタに印刷することを習慣にしよう。読む人にも地球にも優しい
- 以下に、プレビュー機能で確認しつつ印刷する方法を示す
- グラフが選択された状態になっているかどうかを確認する(*6)。もしグラフが選択状態になっていたら、グラフ以外のワークシートをクリックして選択を解除しておく
- [ファイル]メニューから[印刷プレビュー]を選ぶ。すると、どのように印刷されるかの状態を表すプレビュー画面が表示される
- プレビュー画面の左下を見ると、[現在表示しているページ]/[総ページ数]という形式でページ情報が表示されている。このケースでは総ページ数が2ページとなっている
- [次ページ]ボタンを押して2ページ目を確認すると、グラフの右端が次のページに溢れていたことがわかる。これは格好が悪いので1ページに収める
- プレビュー画面から[設定]ボタンを押すと、紙の方向などを設定できる画面が表示される。ここでは幅が広すぎたのだから、紙を横向きにして全体を1枚に入れてみる(*7)。「印刷の向き」で横を選択して、[OK]をクリックする
- プレビュー画面が再度表示されるので、左下を確認すると 1/1となっている。1枚におさまったので[印刷]ボタンを押してプリンタに出力する
練習問題1.
(1)例題2で作成した表のデータのうち、ハワイと答えた人の数を85から4にしてみなさい。このとき、合計欄とグラフがどのように変化するか確認しなさい(確認したら、ハワイの数値を85に戻しておくこと)
(2)次のデータをもとに、Excelで表をつくり、入国者の国籍と割合がわかるように円グラフを作成しなさいその際、以下の点に注意すること
- 合計はExcelが計算するように適切な計算式を入れなさい
- できあがった表とグラフは1枚の用紙に一緒に印刷しなさい。その際、わかりやすい位置に「練習問題
1-(2)」「日付」「学籍番号・氏名」を同時に印刷して他の人の出力と区別できるようにしなさい。※プリビュー機能を使って1枚に入ることを確認してから印刷すること
- できあがったファイルは calc001 という名前をつけて保存しなさい
(3)次のデータをもとに、Excelで表を作り、NTTドコモの契約台数の変化がわかるように折れ線グラフを作成しなさい。その際、以下の点に注意すること
- できあがった表とグラフは1枚の用紙に一緒に印刷しなさい。その際、わかりやすい位置に「練習問題
1-(3)」「日付」「学籍番号・氏名」を同時に印刷して他の人の出力と区別できるようにしなさい。※プリビュー機能を使って1枚に入ることを確認してから印刷すること
- できあがったファイルは calc002 という名前をつけて保存しなさい
(4)次のデータを元に以下の作業をしなさい
- Excelで表をつくりなさい
- 合計は自動的に計算されるように計算式をいれなさい
- 表のよこに、平成元年と平成18年の歳入項目ごとの割合を円グラフで示しなさい
- できあがった表とグラフは1枚の用紙に一緒に印刷しなさい。その際、わかりやすい位置に「練習問題
1-(4)」「日付」「学籍番号・氏名」を同時に印刷して他の人の出力と区別できるようにしなさい。※プリビュー機能を使って1枚に入ることを確認してから印刷すること
- できあがったファイルは calc003 という名前をつけて保存しなさい
Tips: 沢山ファイルを作りすぎてごちゃごちゃになったら?
Tips: 隣接していない範囲を選択するには?
隣接していない範囲を選択する際には、まず範囲を選択し、さらにCtrlキーを押したままで次の範囲を選択する
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