神奈川大学 経済学部
2016年度経済情報処理

第19課 文書の推敲、一貫したスタイル、文書のブロック化

第19課の目標

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準備問題
世代問題としての若年者非典型就業と「やりなおし」というちょっと長めの文章をサンプルとして用いる(右ボタンクリックでファイルとして保存してから使うこと)。この文書の見出し1と見出し2にWordの番号機能を使って通し番号をつけ、フッターにページ番号を入れなさい。ページ番号は、「ページの下部」に「X/Yページ」の中から「太字の番号2」を選びなさい。作業が終わったらfreeterという名前で保存しなさい。

1. アウトライン機能を使って文書を作成する

Wordでアウトライン機能を使うには? → Word編 Q33(1)

1.1 起承転結はダメ

よく文章の構成として起承転結という4つの要素を並べることを求められるが、レポートは小説ではないので途中で主張が転じてしまっては困るし、最後まで読まないと結論が分からないのも困る。「転」が必要なのは文学的な文章であり、世の中の大部分の文章にはそんなものは必要ないし、むしろあっては困るということを覚えておこう。

学術論文では序論・本論・結論というパターンが標準的であるが、ビジネスでの報告書であれば最初の1ページで概要がわかり、必要に応じて後ろに詳細が書いてあるという形式、すなわち概要・序論・本論・結論(論議)が望ましい。標準的な大構造にあわせてレポートを作成する際には、大まかな構造をまず決めてから中身を順番に並べていくという形式で作業すると見通しがいい。このような作業に便利な機能がアウトライン機能である。

Wordのアウトライン機能は頭から文章を一気に書くのではなく、まずアウトライン(骨格)を作ってから本文を埋め込んでいくという書き方に便利である。

1.2 アウトライン機能で文章の構成を変更する

アウトライン機能を使うには、ある程度長い文章でないとつまらないので、ここでは世代問題としての若年者非典型就業と「やりなおし」というちょっと長めの文章をサンプルとして用いる。

例題1. 章の入れ替え

サンプルとして使う文書世代問題としての若年者非典型就業と「やりなおし」は章立てが少しおかしい。そこで現在は2章になっている「失業者とフリーターの増加」を1章にしたい。

Step 1. アウトライン表示に変更する

画面表示をアウトライン表示にするには? → Word編 Q37

Step 2. 章レベルの見出し(レベル1見出し)だけ表示する

レベルごとの表示や本文表示するには? → Word編 Q37

Step 3. 2章の見出しの行頭マークをドラッグして、1章の前に移動する。移動した見出しより下のレベルの見出しも一緒に移動する。

Step 4. 移動後の様子。レベル2見出しまで表示すると、確かに下のレベルまで一緒に動いたことがわかる

Step 5.見出し番号は順序を入れ替えたときに自動的に番号が変わっているが、図表番号や、図表番号を文章中で参照しているところは変更されていないので更新しておく(→Tips: 図表番号のふりなおし)。更新が終わったら上書き保存しておく。

練習問題1.

例題1で作成した文書の冒頭に以下の文章を挿入し、概要という見出し1をつけて第1章 概要と表示しなさい。

※コピー&ペーストする場合は、「形式を選択して貼り付け」から「テキスト」を選ぶこと。

バブル崩壊後悪化してきたわが国の雇用状況は、1990年代後半からの製造業での請負活用進展に伴い、主として高卒の若者が正規雇用ではなく非典型労働者となる形に変化してきた。最近は景気回復と団塊の世代の引退に伴う需要増でまた高卒者に対する正規雇用が復活する傾向があるものの、一旦非典型労働者として社会に出てしまった世代が市場メカニズムを通して正規就業者になる道は険しい。この「やりなおし」問題は本人の責任ではない部分が多いため、なんらかの政策的なフォローアップが必要だろう。

2. スタイルの利用

2.1 スタイルの定義

例題2. 表の資料出所の書式をスタイルで設定する

Step 1. freeterを開き、表1の下にある資料出所に普通の書式設定機能を用いて書式をつける。ここでは、

を設定してみる。

文字書式を変更するには → Office基本操作編 Q6

Step 2. Step1で設定した書式に「資料出所」という名前をつけて登録する

書式をスタイルに登録して利用するには? → Word編 Q15

Step 3. 表2〜表5の資料出所に、上で定義した「資料出所」を使って書式を設定する。作業が終わったら freeterに上書き保存しておく。

2.2 スタイルの修正

例題3. スタイル「図表番号」を変更してみる

登録した書式を修正するには? → Word編 Q15

練習問題2.

  1. 例題2で作成した「資料出所」スタイルを変更して、フォントサイズを12ポイントにしてみなさい
  2. 見出し1は前後に0.5行の改行、見出し2は前に0.5行の改行が入るように変更してみなさい

3. セクションで文書を区切る

文書をセクションで区切るには → Word編 Q28

例題4. セクションをつかってヘッダーを使い分けてみる

ページによってヘッダーとフッターの内容を変えるには? → Word編 Q30

Step1. 文書 freeterを開き、第1章の終わり(第2章の「非典型労働者の働き方」の直前)にセクション区切りを挿入する。

改ページが入ってしまうと困るので、「現在の位置から開始」を選ぶこと。セクション区切りを入れると、ヘッダー/フッターの表示が以下のように変わる。


Step 2. 上の絵にあるように、単にセクション区切りを挿入しただけでは、右端に「前と同じ」と出ているように、前のセクションのヘッダー/フッターをそのまま引き継いでしまうので、[ナビゲーション]グループの[前とおなじヘッダー・フッター]ボタンをクリックして解除する。

Step 3. セクション2のヘッダーに「非典型労働者の働き方」と書き足す

Tips: アウトラインとスタイルの関係

確認問題

  1. 文書 freeterにセクション区切りを挿入して、章ごとに別のセクションになるようにしなさい
  2. 上で作成したセクションごとに、ヘッダーの内容を例題にならって書き換えなさい
  3. ヘッダーの内容を偶数ページ・奇数ページで切り換えて、偶数ページには論文タイトル、奇数ページには章タイトルが表示されるようにしてみなさい(☆☆)
  4. Word 2010の標準添付のスタイルでは、本文部分(スタイル名「標準」)では段落の最初は1字下げになっていない(*1)。標準のスタイルを変更してしまうといろいろ影響が大きいので、(1)「標準」を基準にして、新しいスタイル「本文(1字下げ)」を作る、(2)「本文(1字下げ)」を編集して、段落の先頭文字が1文字下がるようにする(*2)、(3)文書freeterの本文部分に、上で作成した「本文(1字下げ)」を適用する、という手順で段落先頭文字が1文字下がるようにしなさい(☆☆)。

(*1)段落先頭文字の文字下げは行間の広さを変えられない原稿用紙の流儀で、行間を変えられるワープロを使う際は段落間を広めに取ることによって段落間の区切りを示すことも多い。Wordの「標準」はどちらかというとこの考え方に近い。ただ、「段落先頭文字を1文字下げてないなんて非常識、論外、プークスクス」みたいな反応を示す人も少なくないので相手に合わせて使い分けられるようになるのが現実的。

(*2)段落先頭の文字下げについては、ここでの記述のように段落書式として字下げを設定する方法と、実際に空白文字を入力して文字下げに代替する方法がある。後者の方法には(1)段落の先頭の空白文字には論理的に意味が無い(段落の区切りは改行文字で識別できる)のでデータとして無意味なものを入れておくのはカッコ悪い、(2)プロポーショナルフォント(文字の高さや幅が一定でないフォント)を使っている場合は、文字ツメのためワープロ側で自動的に文字間に自動的に小さなアキを設定してしまうことがよくある。そのため、印刷したときに空白文字1文字分の幅のアキができるかどうか実は不確定。微妙に行頭位置がずれていると印刷物ではとてもカッコ悪いの、という2つの理由からオススメしない。


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